帰り道、駅にある、ちいさなお花屋さんに目がとまる。
気づけば、足まで止まっている。
お金に余裕なんてないけれど、それでも、手が伸びる。
花は、枯れるのに。
それでいて高いのに、わたしは、切らしていたボディーソープのことを忘れて、花を買ってしまう。
花屋はいい。わたしの鼻には、ひっきりなしに、幸福な香りが飛び込んでくる。
でも、帰り道の香りのほうが、もっといい。
一輪でも、花束でも、胸に抱えると、ちょうど鼻のあたりを花びらがかするのだ。
わたしは、恋に落ちる。
花と一緒に帰る帰り道、いつも、いつも。