「私ってなんでこんなに幸せなんだと思う?」
喫茶店、午後三時。
カフェラテを片手に、生クリームのたっぷり乗ったショートケーキを頬張りながら、彼女は真面目な顔をして訊いた。
「僕と一緒にいるから、それから君の大好きなチョコレートがあるから」
ちょっとすべったかな、と心配していると
正解、と彼女は言った。
そのあとフォークを置いて、でもね、と続けた。

それに大好きなチョコレートも食べられるし、哲学の勉強だってできて幸せよ。
だけどね、思ったの。
不幸だと思えば不幸なことは世の中にたくさんあって、
私には、自分を不幸だと感じる能力が欠けているんじゃないかって。
だって私、探したって不幸なことなんてひとつもないんだもの。」

てっぺんのイチゴを二本の指でつまみながら、彼女は大真面目な顔で言った。
きっとこの世の中、自分を不幸だって感じられない人が幸せ者なのよ、幸せはきっと愛でもお金でもないの。
そういって口の中に放り込まれたイチゴは、
薄い唇に微かな生クリームを残して、消えていった。


"harmonious"
- Size:
- Material:
- メノウのコースター 4枚組み
- ¥15600-
- 送料込み
”なにもかも違うのに、
調和がとれたものってあるよね、
まるで運命みたいに”
割れたガラスを永遠に閉じ込めたような、
手に届くようで届かない美しさを食卓に。